『鳩の撃退法』を読んだ。
最近、藤原竜也主演で映画化もされました。
さすが映画だけあって、本の表紙に比べて大幅にエンタテイメント感が高まっています。
佐藤正午は、1983年にデビュー作『永遠の2/1』で第すばる文学賞、2017年に『月の満ち欠け』で直木賞を受賞するなど文学性とエンタテイメント性を兼ね備えた人気作家です。
佐藤正午の作品には、「自己中心的で優柔不断、中途半端で意気地ない性格の人物」が主人公となっていることが多く本作もそれにあてはまります。
本作はその主人公の目線でひたすら語られていく作品なのですが、時間軸が入り混じり、そして実話と虚実が入り混じり、何が本当で何が嘘なのか、そもそも一体何が起きているのか、何について語っているのかわからないまま進んでいきます。
しかも、上下巻と長いので最初は何を読んでいるのかわからず、正直つらかったのですが、後半に物語の全体像が見えきて、最後に収束してくおおきなうねりには驚愕しました。
正直「面白か?」と問われると素直にそうと万人にお勧めするものではないですが、とにかくその構成力、文章力がすごく、読む価値のある小説だと思います。
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